[東京 12日 ロイター] 12日の東京市場は様子見気分が強く、方向感が出にくい展開。株式市場では好業績株を買う動きがみられるが広がりはなく、為替市場でもユーロの軟調地合いが続いている。
海外市場で金が最高値をつけるなど、欧州の信用リスク懸念を背景に安全志向の投資行動は容易には収まらない、との見方が依然、優勢だ。
<決め手不足>
株式市場では日経平均が反発。欧米株式市場は総じて軟調だったものの、下げ幅が小幅にとどまったことで不安の連鎖にいったん歯止めがかかった。ただ、欧州金融市場の混乱が収拾したとはいえず海外勢の動きは鈍い。「決め手になる手掛かりが乏しく上値を追う展開になりにくい。欧州問題に対する懸念が根強く、ユーロ安が続いていることが上値を抑えている」(大手証券の株式トレーダー)という。
トヨタ自動車<7203.T>や日立製作所<6501.T>など個別の好業績株は買われているが、市場全体への波及はみられない。「欧州のソブリンリスク問題は赤字国の債務削減という根本的な部分が手つかずのままであり投資家は依然として慎重ムードとなっている。高い伸びが予想されている20日発表の1─3月期国内総生産(GDP)で市場センチメントが変わるかがポイントだろう」(東洋証券情報部長の大塚竜太氏)との声が出ている。
金融市場混乱の影響で欧米諸国の利上げ観測が後退し、円高への警戒感が高まっている。大和証券投資情報部長の多田羅信氏は「為替動向に加え国内政局不安などもあり、投資家のマインドは陰の局だが、先進国の中で相対的にリスクが低い日本株は環境が落ち着けば見直される余地は大きい。企業業績の持続的な回復に対する期待感も根強く、中期的なパフォーマンスは上げやすいだろう」とみている。
<ユーロ軟調続く、人民元切り上げ観測にも関心>
外為市場では引き続きユーロが軟調。しかし、欧州当局の対策を受けて欧州各国金利が低下したことを受けて、値動きは最近の取引レンジ内にとどまる緩やかなものとなった。ただ、市場では「ショック相場ではなくなったが、実態に基づいて着実に売られている状況に変化はない」(都銀)とユーロの下落基調を見込む向きが大勢。対ドルで今月初旬につけた1年2カ月ぶり安値の1.25ドル台をいつ、どのように割り込むかに関心を寄せる声が上がっている。
欧州当局の対策でソブリン?リスクへの極度な警戒感が薄れ始めるとともに、市場では中国人民元の切り上げ観測が再び強まり始めた。前日に中国で発表された経済指標で、不動産価格や物価の上昇が引き続き明らかになったこと、中国当局関係者から人民元切り上げの必要性を認識する主旨の発言が増えてきたことなどが手掛かり。「6月開催の20カ国?地域(G20)首脳会合前で、(今月下旬の)米中戦略?経済対話のタイミングも踏まえれば、早ければ今週中にもとの観測も出ている」(先出の都銀)という。
しかし、人民元の切り上げ観測はこれまで何度も浮上しては消えているうえ、現時点でも中国がどういった手法で、どの程度の切り上げを実施するかは見方が分かれたまま。円相場への影響も、切り上げなら円に上昇圧力がかかるとの見方が依然多いものの、海外勢の間では円安見通しが大勢となってきたことで「いい円の売り場になるかもしれない」(別の都銀)との声が出ている。
<円債に底堅さ>
円債市場は小動き。株が戻したことで、寄り付きは安くスタートしたが、手掛かりとなる材料が乏しい中、現物、先物ともにこう着感が強まった。中盤以降は、株が伸び悩むと、再び買い戻される展開となった。中期ゾーンにはアクティブ運用の年金勢や地域金融機関が小口の買いを入れたため、小じっかりとなった。店頭で4年債、5年債が堅調に推移。中盤に観測が出ていた国債買い切りオペを日銀は通告した。
マーケットでは、ギリシャの債務危機に端を発した欧州問題に対する懸念が根強く残り、「株が上がりづらい以上は、債券も売り込みづらい」(国内金融機関ファンドマネジャー)という。
イールドカーブは5年ゾーンが強く、先物周りから長期ゾーンがやや弱い形状となった。長期ゾーンについて、クレディスイス証券?債券調査部長の河野研郎氏は「前日の10年国債入札後、債券市場は値を戻したが、10年セクターは割安なままだ。5年から20年のカーブ上でも、対国債先物でも、対スワップでもその割安さは際立つ」と話した。
財務省の貝塚正彰国債企画課長が12日都内で行った講演内容について「外国人投資家
と情報共有することで、国債のプレミアム抑制する必要があるというヘッドラインは興味深い。ギリシャ財政危機に端を発したマーケットの混乱を気にしており、民主党の中期的な財政フレームの作成先送りは許されない状況にある」(国内証券)との声が聞かれた。相場への影響は現状限られている。
(ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者:編集 吉瀬邦彦)
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引用元:ローズ(Rose) 専門サイト
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